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トップページ >  クリニック通信 >  【Vol.6】ぜんそく患者さんが治療を続けるのが難しいのはなぜ?

【Vol.6】ぜんそく患者さんが治療を続けるのが難しいのはなぜ?


喘息は、たとえ症状がなくても慢性的に気道の炎症が続く病気です。

小児喘息の内、半数以上の方が、成人するまでに無症状、そして治療の必要性がなくなります。しかし、一旦喘息が治ったように思えても、カゼ、季節の変わり目・天候の急な変化、過労・ストレス、あるいは喫煙を始める事等をきかっけに、突然再発することは残念ながら、稀ではありません。

実際、当クリニックに受診されている患者さんの約半数は、「過去に喘息は治ったと思っていた期間」を経験しています。喘息が再発した場合、「今回はたまたま…」「体調がちょっと悪かっただけ」と考え、一旦症状が落ち着くと「そろそろ治療を止めたいのですが…」とおっしゃる方がほとんどです。

一方、同じ慢性の病気である高血圧の患者さんの多くは「一度、高血圧の治療を始めたら、一生続けないとダメ」と認識しています。これは高血圧は、元々自覚症状は無いことが多い、脳卒中や心臓病など命に関わる病気と高血圧が強く関連していることをご存知の方が多いため、「症状が無くても治療は続ける、中断すると(多分)悪い結果(脳卒中・心臓病)を招く、治療を続けていれば(きっと)防げる」と思って、症状がなくても、当然の如く(あるいは、渋々?)治療を継続しています。

一方、喘息は自分で調子が良いかどうかがわかる(自覚症状)反面、水面下にある気道の炎症の存在は認識できません。治療によって、自覚症状がなくなると「喘息が治った」「症状がないのになぜ治療が必要なの?」と、自覚症状があるが故に、治療の継続の受け入れを妨げています。また、仮に、治療を中断した後に程なく喘息の症状が出ても、治療の再開により速やかに自覚症状が良くなるため、「大丈夫、調子が悪くなったら、治療を再開するれば良い」と、治療の再開と自己判断による治療の中断が繰り返される傾向があります。

そんなことを繰り返していると、いつか入院をするような大きな発作を起こしますよ!」、「調子が悪い状態を繰り返してると、気道が狭くなって元に戻らなくなり、常に息苦しくなりますよ」、あるいは「今でも年間1,500人以上の方が喘息で命を落としていますよ!」と、いわば「脅かして(?)治療を継続させる」方法は、呼吸器科医として…気が引けます。

この点について、他の医師と話をすると「君は甘い!キチンと治らないという現実を説明して、治療の継続を促すべきだ!」と厳しいお叱りを受けることがあります。
一方、「喘息は治らない病気です。良好なコントロールを目指して、一緒に頑張って治療を続けていきましょう」と説明するのはどうですか?と別の医師に問うと、「なぜ、あなたは、治らないなんて患者さんをガッカリさせるような事を言うの?」と非難されることもあります。

日々、目の前の患者さんを診察しながら、その答えを探す毎日です。