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Home >  これで解決!あなたのギモン >  長引くセキ >  咳喘息の治療について

咳喘息の治療について


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咳喘息の治療で重要なのは、吸入ステロイド薬と気管支拡張薬

  • 咳止めは効かない
  • 抗生物質は効かない
  • 気道の好酸球による炎症には吸入ステロイド薬
  • 末梢気道の閉塞には気管支拡張薬
  • 吸入ステロイド薬と気管支拡張薬の配合剤が第一選択
  • 自覚症状はすぐに良くなるが、自己判断での中断は危険
  • 咳喘息は、原則治らないが、試験的な治療の中断の選択肢はある


Q 「咳止め」って結局なに?

A 脳にある咳中枢(せきちゅうすう)と肺のセンサーを抑える2種類があります

咳止め(鎮咳薬:ちんがいやく)は、大きく 3 つに分類されます。
  1. 麻薬性中枢性鎮咳薬
  2. 非麻薬性中枢性鎮咳薬
  3. 末梢性鎮咳薬
「マヤク!」と聞くとドキッとされると思いますが、麻薬にはいろいろな作用があり、その1つに延髄にある咳中枢(せきちゅうすう)の働きを抑える作用があります。この作用を利用して、副作用が余り出ないような量に調節して服用するのが、麻薬性鎮咳薬です。
1.麻薬性中枢性鎮咳薬
   ・コデイン(リンコデ®)
   ・ジヒドロコデイン(メテバニール®)
延髄咳中枢の反応を抑えて、咳を鎮めますが、依存性があります。
※依存性:いわゆる「くせ」になって止められなくなる事

2.非麻薬性中枢性鎮咳薬
   ・デキストロメトルファン(メジコン®)
   ・チペピジン(アスベリン®)
上の麻薬性と同様に延髄咳中枢の反応を抑えて、咳を鎮めますが、こちらは依存性はありません。

3.末梢性鎮咳薬
このタイプの代表的な薬は
   ・ベンゾナテート(本邦未発売)
肺にある受容体(センサー)の一部の働きを抑えて咳を鎮めます。

脳(延髄)にある咳の中枢を抑える

肺のセンサーを抑える


咳止めは、脳にある「咳反射の中枢」の働きを抑える

Q 「咳止め」って効くの?

A 効果は…期待薄、あくまで対症療法!更に咳喘息ではリンコデは原則禁忌

咳止めは、咳反射の中枢の働きを抑えることにより咳を鎮めます。

しかし、現在服用できる「咳止め」の効果は不十分で、また気道を守る大切な防御反応の一つである咳は、無闇に止めれば良いと言うものでもありません。

「咳止め」を処方した患者さんに、その効果を確認すると
「正直に言うと、あまり効かないですねえ...」
「飲まないよりは、飲んだほうが良いくらいかな?」
と言われることが少なくありません。

また、咳を止める効果が最も強い「コデインリン酸水和物」(リンコデ®)は、気管支を収縮させる副作用があるため、気管支喘息(咳喘息も同様)には禁忌(キンキ)、つまり処方してはいけない、服用してはいけない薬となっています。

今後の「咳止め」の見通しは?リリカが効く?

最近の研究の成果では、長引く咳では、喉(のど)や気道が色々な刺激に敏感に反応しやすい生まれつきの体質、あるいは、途中から何らかの原因(感染、ストレス・過労、胃酸の逆流など)で、そのような体質に変わってしまったことが、咳が出やすくなる根本的な原因なのではないかと考えられています。
治療薬のターゲットの1つとして、喉や気道にあるセンサーの過剰な反応が起きることが、頑固な咳の原因として推測されており、帯状疱疹(ヘルペス)後の神経痛に効くような薬(ガバペンチン:ガバペン®、プレガバリン:リリカ®)が、咳の治療薬としてが期待されています(研究段階で、現在処方はできません)。

Q 取り敢えず「咳を止めたい」

A 「気管支を拡げる薬」が咳喘息のセキを楽にしてくれます

咳喘息において咳が出る理由は、

①気道の表面にあるセンサーが刺激受ける

②末梢気道が狭くなる

この2つの経路の反応が、咳反射の中枢のある脳幹(延髄:えんずい)に伝わり、延髄からの司令で、肋骨の筋肉や横隔膜、声帯を動かして、咳反射が起きます。

いわゆる咳止めは、咳中枢の働きを抑える事により咳を鎮めますが、その効果は弱く、咳喘息には効きません。鎮咳薬の中で、処方がされることが多い、コデイン(リンコデ®)は、効かないばかりか、気道を収縮(狭く)させる副作用もあるため、咳喘息・気管支喘息では、原則禁忌(服用できない!)となっています。
また、バイ菌の繁殖を抑える「抗生物質」も咳喘息には全く効果がありません。

咳喘息では、息を吐く時に末梢気道が狭くなって、その刺激が咳中枢に伝わることによって咳がでます。
そこで、気管支を広げる気管支拡張薬が有効です。

気管支拡張薬には、次の3種類があります。
  • 吸入薬(サルタノール・メプチンエアー)
  • 貼る薬(ホクナリンテープ)
  • 内服薬(テオドールなど)
  • 吸入薬は効果が出るまでわずか5分、最大の効果が20分と速効性があります。「咳を止めたい!」と思った時に大変有効です。
  • 貼る薬は吸入薬がうまく使えない方(例えば、ご高齢の方など)に適した剤形です。一度貼ると気管支を広げる効果が1日中続きますが、速効性はありません。(皮膚がかぶれ易い方にも向いていません)。
  • 飲み薬は、効果が出るまでに時間がかかる、手が震える、胸がドキドキする、体がフワフワするなどの副作用が出やすいため、お勧めできません。

咳を速効性で止める吸入薬

メプチンエアー

サルタノール


吸入薬の使い方(動画)


速効性の「吸入する気管支拡張薬」の使い方を是非覚えて下さい


Q のど飴・ハチミツは効くの?

A ある程度の効果は期待できます

「飴をなめると咳が少し楽になります・・・効いてるんでしょうか?」

のど飴にはいろいろな種類があり、
•メントール・ハッカ等、のどを冷やす
•咳反射を起こす脳(咳中枢)の反応を抑える
•気管支を拡げて呼吸を楽にする

また、「のど飴をなめる」という、のどに対する直接的な刺激が、咳反射を抑える働きがあるのではないかと推測されています。

「セキにはハチミツが良いって聞きましたがホント?」

ハチミツには、殺菌作用とのどの粘膜を保護する働きがあります。
ハチミツの中には、グルコースオキシダーゼという酵素が含めれており、過酸化水素という物質を作りますが、その物質が殺菌作用を持っています。
また、荒れたのどの粘膜を保護する作用もあります。
更に、ハチミツの甘さを感じる神経が、咳反射の抑制に関連しているのではないかと推測されています。

※1歳未満の乳児の場合、ハチミツによって乳児ボツリヌス症という病気を引き起こすことがありますので、絶対に与えてはいけません。

Q 自分でできる対策は?

A 冷たい空気、過労・ストレス、煙・香りを避けましょう

咳は色々な刺激・原因(トリガー)で誘発されます。

  • 風邪(カゼ)
  • のどのイガイガ感・かゆみ
  • 冷気、湿気、煙・香り
  • 会話、臥位(横になること)、運動
  • 花粉・ペット・カビ
  • 後鼻漏(鼻がのど元に垂れてくる)
  • 過労・ストレス
  • 食事、香辛料、飲酒、胸焼け


咳喘息・気管支喘息による咳のトリガー⇒冷気、過労・ストレス、煙(タバコ、お線香など)、香り(香水、柔軟剤など)
アレルギーが関連した咳のトリガー⇒花粉、カビ臭
逆流性食道炎が関連したトリガー⇒食事、香辛料(カレー・トウガラシ)、臥位(食後すぐに横になる)

自分のセキのトリガーはこれが原因だな!」と思い当たる場合は、そのトリガーを避けるような工夫をしましょう!

咳喘息で注意すべき誘因(トリガー)

冷気

過労・ストレス

タバコの煙

香水・柔軟剤


咳が出やすいトリガー(誘因)を確認し、できるだけ避ける工夫をしましょう!


Q 効くクスリは何?

A 吸入ステロイド薬が、咳喘息の気道の炎症を改善します

気管支拡張薬を吸入すると、咳喘息による咳は一時的に良くなります。
しかし、咳喘息の患者さんの気道には、典型的な喘息の患者さんと同じように好酸球(白血球の一種でアレルギー反応を起こす細胞)による炎症が起きています。

そこで、この好酸球による気道の炎症を抑えるために必要不可欠な薬が吸入ステロイド薬です。

「ステロイド」というと「怖いクスリ」、「副作用が心配...」と思われる方が多いかと思いますが、吸入する薬の量は、「飲み薬のステロイドの100分の1」と少ないため、長期間吸入しても安全であることが確認されています。

咳喘息の予後―気管支喘息の移行を防ぐには?

京都大学呼吸器内科が実施した日本人の咳喘息の実態調査の結果、吸入ステロイド薬が咳喘息の経過(予後)に重大な影響を及ぼすことが判明しています。

  • 吸入ステロイド薬なし:3~4割 が気管支喘息に移行
  • 吸入ステロイド薬あり:喘息への移行なし

吸入ステロイド薬を継続することの重要性を表す結果でした。
何事にも言われることですが、咳喘息の治療においても継続は力なりですね。

各種の吸入ステロイド薬

パルミコート

アズマネックス

フルタイド

キュバール

オルベスコ


水面下の気道の炎症の改善、気管支喘息への移行を防ぐために吸入ステロイド薬が重要です


Q 「合剤」ってなんですか?

A 吸入ステロイド薬と気管支拡張薬を一度に吸入できる:一石二鳥のクスリです!

合剤は一石二鳥!

咳喘息は「気道の好酸球性(アレルギー性)炎症」と「気道の先端の閉塞」が特徴的な病気です。

吸入ステロイド薬は、気道の好酸球による炎症を改善しますが、その効果を実感できるようになるまで、3~5日程度はかかります。
「ジワジワ」と効いてくるため、「スッキリ咳が止まった」といった速効性を感じにくいのが、吸入ステロイド薬の数少ない欠点です。
その結果、吸入ステロイドを開始直後に「この薬は効かないなあ...」と患者さんが判断(過小評価)し、中止してしまう事があります。咳喘息の根底にある好酸球による炎症を改善できないばかりか、気管支喘息への移行を助長してしまいます。

咳喘息の咳が出る原因である末梢気道の閉塞を改善する吸入気管支拡張薬は、初回の吸入直後から「セキが軽くなる、良く効く、このクスリは続けよう!」と実感できる速効性を持っています。
ただし、気管支拡張薬は、気道の好酸球による炎症に対しては、全く効果が無いため、好酸球による気道の炎症は徐々に悪化していきます。

そこで、好酸球による気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬と末梢気道の閉塞を改善する気管支拡張薬を一度に吸入することのできる合剤が、咳喘息の治療薬として理にかなった(一石二鳥!)治療薬ということになります。

各種の合剤(吸入ステロイド薬+気管支拡張薬)

レルベア

アドエア

シムビコート

フルティフォーム


早く効果が実感できる!そして気道の炎症を改善する合剤はイチオシの薬です!


Q 吸入って難しくないですか?

A どなたでも簡単に吸入できます。ただし、途中で自己流にならないように!

吸入かあ…やったことない、自分にできるかなあ?」と不安を感じる方も多いかと思います。

吸入薬には、器具の使い方、吸入するタイミング、吸入後の息こらえ、うがいなど習得していただきたい点があります。
①吸入薬を調剤薬局で受け取る時に、実際の薬を吸入しながら、専門の薬剤師さんからの説明を受けていただきます。
②2回めの受診の際には、看護師が「吸入薬を使って、何か疑問な点はありましたか?」と確認をしています。
③待合室のプロジェクターでは、各種吸入薬の使い方に関する動画を常に流しており、待ち時間に、吸入方法や使用上の注意点を確認して頂けるようになっています。
④診察時には、練習用の器具を実際に吸入して、医師が問題点、疑問点がないかどうかを確認します。

吸入薬は、大変有効な薬ですが、キチンと吸えてこそ十分な効果を発揮します。また、当初は正確に吸入できていても、途中で「自己流」に変わってしまうことが少なくありません。

当クリニックでは、患者さんが吸入方法を十分理解・習得・継続できるように、上記のような工夫を行っております。

各種の合剤と吸入方法(動画)

レルベア

シムビコート

アドエア

フルティフォーム

レルベア
シムビコート
アドエア
フルティフォーム

医師とご自分にあった合剤を相談・吸入方法を習得して下さい!


Q いつまで治療するの?

A 治療期間はそれぞれの患者さんで異なります

いつまで続けるの?

初めて受診された咳喘息の患者さんに対して、治療薬の説明をした際に
「何か疑問な所、あるいは気になる点はありますか?」と質問すると、患者さんからの圧倒的に多い質問は以下の2つです。

  • 「咳が止まったら(良くなったら)薬は止めても良いですか?」
  • 「いつまで治療はすれば良いですか?」

治療により、殆どの咳喘息の患者さんの咳は速やかに改善します。早い方ですと調剤薬局で1回目の吸入薬を使用した直後、多くの方が5日程度で「かなり良くなった」と実感されます。しかし、その時点で薬を減らしたり、止めてしまうと、咳喘息が再発してしまうことがあります。

そこで、呼吸器・アレルギーの専門医が相談して決めた治療法の目安(ガイドライン)では、以下のような治療法が推奨されています。

咳喘息に対する標準的な治療法

ある一定の時期・季節だけ繰り返す方 治療を止めるとすぐに再発する方
症状のある時だけ治療

症状が出る前から予防的に治療
※2~3か月ごとに治療内容を検討
吸入ステロイド薬以外の薬を減らす

吸入ステロイド薬を徐々に減量

吸入ステロイド薬の中止を考慮

初めて、咳喘息と診断された患者さんに上記の提案しますと、
エッ、そんなに長く治療するの?
今回、初めてなったんですよ…

また、2〜4週間後に、咳の症状がかなり良くなって再診された患者さんに対して、治療の継続を提案すると
こんなに良くなったても薬を続けるんですか?
今日で通院は終了かと思っていた...
との意見がほとんどのように思われます。

そこで、当クリニックの提案です!

  • 咳が出ている間は、治療を継続しましょう。
  • 咳が全く出ない、各種検査の結果が正常になったら治療の中止も考えましょう。
  • 治療の中断後に、咳喘息が再発したら速やかに受診して治療を再開しましょう。
  • 再発を繰り返す場合は、必要最小限の治療を続けましょう。


上記の様に提案しています。呼吸器専門医の中でも、咳喘息の治療期間に関しては結論が出ていません

それぞれの患者さんの病状、ご希望を踏まえて、納得していただけるような治療の提案を心がけております。


Q 結局、治るの、治らないの?

A 「必ず治ります」と現状ではお答えできませんが・・・

「本日の診察で、心配な点はありますか?」と診察終了時に咳喘息の患者さんに質問すると
えー、私は、セキゼンソクなんですね・・・結構ショック
治りますよねえ、一生お付き合いじゃないですよね?

そんな風に質問される患者さんがかなりお見えになります。
咳喘息が起きる原因は、遺伝的な(持って生まれた)体質、環境(居住地、家屋など)+αがあると考えられています。

風邪・インフルエンザ、アレルギー暴露(ホコリ・花粉・動物のフケなど)、環境(黄砂・PM2.5、タバコ煙、香水、線香の煙)、気候・天候の変化、過労、ストレスなど多くの要因により咳喘息は悪化します。
このように簡単に変えることはできない体質と多くの咳喘息を悪化させる要因が身の周りにあるため、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬の合薬により、咳喘息のコントロール(症状を無くする事)は可能でも、二度とならない・完治させることは難しい方がほとんどです。
しかし、一昨年から保険診療が認められた花粉症を治すための治療スギ・ダニに対する舌下免疫療法は、かなりの効果(3割の方が、スギ花粉の飛散時期にも薬がなくても症状が出ない、+4割の方が薬を減らせる、併せて7割の方に有効です)が確認されています。
昔で言う体質改善の治療が気管支喘息や咳喘息の治療法として有効であることの確認ならびに保険診療として認可される日もそう遠くないと思われます。更に、「なぜ、症状は無くすことができても再発するのか?どうして治せないのか?」が精力的に研究されています。

アレルギーに関連した病気の解明は日々進んでいます。

気管支喘息・咳喘息を治せる(完治)治療法の発見される日が来ることが待ち望まれます!

もっと知りたい【長引くセキ】について

  • セキが止まらない!
    「咳(せき)が止まらない!」「仕事中に咳が出て困る」「咳で眠れない」こんな患者さんが増えています。


これで解決!あなたのギモン

静岡県浜松市北区初生町381-2 交通アクセス
電話:053-430-5111
呼吸器・アレルギー専門クリニックです!
クリニック開院後、10,000人以上の呼吸器(気管支喘息・せき喘息・COPDなど)ならびにアレルギー(花粉症・食物アレルギーなど)の患者さんの診療に携わった経験に基づく「専門的な医療」を提供いたします。